仙骨(仙腸関節)の調整はなぜ必要か?
まず脊柱(背骨)と骨盤(仙骨、腸骨)では求められる機能は異なります。
脊柱の関節は主に動くことを求められ、骨盤は主に支えられることを求められます。
これはちょうど高層建築物の耐震構造と似ています。
建物は揺れてバランスを取りますが、土台はしっかりしていないと倒れてしまいます。
ですから、脊柱の土台である仙骨はしっかりしていないと駄目なわけです。
土台がしっかりせずに治っている状態とはどういう事かというと、例えば、ひどい腰痛の方も安静にしていると、時が経つにつれて症状は軽減していきます。
それは関節の炎症が治まることに加え、重力負荷が少なくなり、仙骨靭帯の損傷が治癒し仙腸関節が安定し始め、仙骨のズレが減少するためです。
歪んだ状態でもある程度は症状は軽減しますが、このような状態では以前よりはるかに少ない負荷を受けただけで、バランスが崩れ年々その歪みがひどくなってしまいます。
このような状態を自然治癒だけに任せておくと、ある程度は治ってもそれ以上の回復は望めません。
しかも、ある一定レベルを超えたズレに対しては、その自己調整能力では、その場その場のいろいろな影響に左右されるため、元の状態には完全に戻ることはできません。
むしろ人体はその状態でバランスを取ろうとするため、仙腸関節のズレに伴って身体の他の部分が無理をしてバランスを取ろうとし、それが不調となって至る所に現れてくることになります。人体の自然治癒力は仙骨のズレを矯正するのではなく、体の水平性を維持するために脊柱全体が順応するしかないのです。
仙骨(仙腸関節)を正す事により、なぜ、内臓疾患の改善もされていくことが考えられます。それは仙骨(仙腸関節)を正す事によって、体全体のバランスが整うからです。
体全体のバランスが整うことにより、内臓が本来の正しい位置に落ち着きます。(容器の形が綺麗であれば、中身も綺麗に収まるのと一緒です)
ほとんどの方が、仙骨(仙腸関節)が前方(おへそ側)に傾いています。仙骨(仙腸関節)が強く前に傾くと、臓器が下に下がってしまいます。これを元に戻す事により、臓器が本来の正しい位置に戻ります。適正な位置に戻れば、当然働きも良くなります。
仙腸関節を調整している時に、腸が大きな音を立てて動くことが度々ありますが、決してめずらしいことでもなく、施術中にはよく起こることです。
また仙骨(仙腸関節)は生殖器と特に密接な関係がありますから、不妊や更年期障害、男性のEDにも著効があります。
さらに大切なことは、臓器が本来の正しい位置に戻ることで免疫力が増すことです。
免疫力、 それは血液中の白血球中のリンパ球、顆粒球、マクロファージなどのバランスが良い事です。これらのバランスは自律神経が司っています。
自律神経の働きは交感神経と副交感神経の2つがバランスよく働く事が大切です。
この2つの神経のバランスが崩れてしまうのが、いわゆる自律神経失調症です。(不眠や鬱、冷えや便秘もそうです)
大抵は交感神経の方が過剰に働き、副交感神経の働きが弱くなっています。
副交感神経は仙骨(仙腸関節)にある仙骨孔という穴から出発していますので、仙骨(仙腸関節)を調整する事により、鈍っていた副交感神経の働きを良くして、交感神経とのバランスを整えることができます。結果、免疫力も回復していき、内臓疾患なども改善されていくのです。